原状回復費用が利回りに与える影響

通常、原状回復工事は壁紙の張り替え、床の張り替え、水回りの清掃が基本セットです。
これらをすべて行い、20万円程度という価格が一般的なところです。
これを入居期間別に収益に与える影響を考えると、居住期間6ヶ月では居住中に得られる賃料総額の9.3%、1年では4.6%、2年では2.3%、3.5年では1.3%となります。
となると、2年程度の短期入居者が退去した後に、毎回リフォームを行っていたのでは、収益を圧迫する計算となってしまうことが分かります。
さらに、東京都においては、東京都賃貸住宅紛争防止条例が周知されてきたこともあり、敷金として6万円を預かっているのであれば、クリーニング費用として1万5000円程度を差し引き、残り4万5000円は返金する必要があります。
若年層の入居者は、少額のコスト負担にも非常に敏感で、情報を得る術に長けているので、過大な原状回復費用を請求すると、入居者との間でトラブルになりやすいのです。
また、喫煙者の場合は、原則的には入居者負担で、壁、床など一通りの設備をすべて交換することができることが知られています。

・設備は交換を控え、なるべく使えなくなるまで使う

そのような理由から、ワンルームにおいては毎回、几帳面に壁、床の張り替えをしているオーナーは少なく、実際は、とにかく使えるまで使うのが一般的です。
清掃では落ちないシミなどがあり、どうしても張り替えしなければならない場合でも、周囲と色の違いが多少あっても、似たような色の部材をつぎはぎして最低限の取り繕いをするというのが、低価格帯ワンルーム物件では多いようです。
自分が住むならば、ここに多少のコストを掛けてでも、もう少しキレイな家に住みたいと考えて、ついついフルリフォームをしてしまいがちですが、ここで重要なのは、自分が住むわけではないと割り切り、純粋に費用対効果を考えることです。
若年層のシングルタイプ住居の入居者、特に賃料6万円前後の価格帯へ入居する人たちから見れば、もっとも重要な要素はあくまで「予算」なのです。
予算内で物件が見つかるのであれば、内装のグレードに多少問題があっても、それはあまり問題とならないという傾向が強いことを忘れてはいけません。
修繕を入れるか、手直しだけで済ませるかを判断する上で、まず周辺相場賃料、そして、その地域の平均賃料を確認します。
設備をリニューアルして周辺物件以上の競争力を持たせた場合、どの程度の追加賃料を得られるポテンシャルがあるのか。
また、賃料下落には、建物全体の老朽化も影響しており、多少の修繕を入れたところで内覧時の印象は変わらず、結局賃料設定や募集への影響は少ない……といったことも多々あります。
そういった事情を見極めて、あくまで収益力ベースでの投資判断をしましょう。

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